デパケンRとセレニカRの違い

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こんばんは、ポテPです。

「デパケンR」と「セレニカR」の違い、知っているでしょうか?どちらもバルプロ酸の徐放製剤ですが、その徐放機構に違いがあります。その結果、以下の通り溶出率やTmaxに差が生じます。

●デパケンR
日本薬局方 バルプロ酸ナトリウム徐放錠A
4時間溶出率:15~45% 6時間溶出率:35~65% 12時間溶出率:75%以上  Tmax:8.95±1.08時間(食後投与)

●セレニカR   
日本薬局方 バルプロ酸ナトリウム徐放錠B
8時間溶出率:15~45% 11時間溶出率:35~65% 20時間溶出率:70%以上  Tmax:14.7±1.6時間(食後投与)

日本薬局方にバルプロ酸ナトリウム徐放錠A及びBが収載されたのは第17改正日本薬局方第二追補からのようです。厚生労働省のホームページより確認できます。
これを見るとセレニカRの方がゆっくり溶出されることが分かりますね。そのためデパケンRが1日1~2回、セレニカRが1日1回の用法に設定されているのだと思われます。

また、当然1日の血中濃度の推移にも違いが生じるようで、セレニカRの方が濃度が安定していた、といった報告もあるようです。Different serum concentrations of steady‐state valproic acid in two sustained‐release formulations, Volume: 61, Issue: 3, Pages: 308-312, First published: 28 April 2007

ちなみに少し前ですが、バルプロ酸 Na 徐放 B 錠 「トーワ」がバルプロ酸ナトリウム徐放錠 A「トーワ」に変更したのは局方収載が徐放錠Aなのに徐放B錠という名称がややこしいから、との理由だそうです。

なお、セレニカRには錠剤と顆粒の2剤型あります。添付文書で薬物動態パラメータだけを比較すると大きく異なるのですが、両製剤は生物学的に同等であることは実証されています。インタビューフォームP.31に記載あるため確認してみてください。

さて、ここで病棟勤務していると割と遭遇する「持参薬無くなったから院内採用品に切り替える時どうするか問題(長い)」のことを考えます。
僕の勤務する病院はデパケンR錠とセレニカR顆粒の採用があります。セレニカR錠は採用していないんですね。入院時にセレニカR錠を持参される方はたまにいます(体感ではデパケンRが多い印象)。デパケンR錠とセレニカR顆粒どちらに切り替えるかを薬剤師として考えるのですが、

ぶっちゃけ、どっちでもいいと思ってます。

顆粒剤に抵抗がない患者さんであれば、体内動態はほぼ変わらないという理由でセレニカR顆粒を選択した方が無難と考えます。錠剤でなければ嫌だ、という患者さんであればデパケンRを選択しますが、その際は用法に注意ですね。セレニカR→デパケンRの切り替えは(逆も含めて)広く実施されているようで、添付文書の用法用量に従った処方であれば問題となることは無い、というのが一般的な見解のようです(メーカー担当者に確認しただけでエビデンスもくそもないので鵜吞みにしないようお願いします)。

参考になれば幸いです。

以上です。あ、セレニカR錠は1包化したらダメですよ。吸湿によって溶出が加速してしまう恐れがあります。

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