顔面神経麻痺に抗ウイルス薬を使う際の注意事項

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こんばんは、病院薬剤師のポテPです。今日は耳鼻科病棟で勤務していた時に勉強した内容を紹介します。

顔面神経麻痺という病態がありますが、その大部分はRamsay Hunt症候群とBell麻痺が占めます。疫学的な話をすると、日本での全顔面神経麻痺の患者数は年間約65,000人で、そのうちBell麻痺は約40,000人、Ramsay Hunt症候群は約10,000人と推定されているようです。
Ramsay Hunt症候群の原因は水痘・帯状疱疹ウイルスと考えられている一方、Bell麻痺は主に単純ヘルペスウイルスが原因と考えられています。どちらもウイルスが原因ではありますが、そのウイルスに違いがあります。

治療に使用される抗ウイルス薬(内服)はバルトレックスとアメナリーフになります。下記に各薬剤の適応や用法用量を記載してみます。

●バルトレックス
単純疱疹:1回500mgを1日2回経口投与する
帯状疱疹:1回1000mgを1日3回経口投与する

●アメナリーフ
帯状疱疹:1回400mgを1日1回食後に経口投与
※単純疱疹に適応なし

これだけ書けばお気づきの方もいるかと思います。ずばり以下の点に注意する必要があります。

①アメナリーフはBell麻痺(単純疱疹)に処方できない

②バルトレックスはRamsay Hunt症候群(帯状疱疹)かBell麻痺(単純疱疹)かで用法用量が異なる

従って、顔面神経麻痺の患者さんに抗ウイルス薬が処方された際は、病名と用法用量の確認が必要となります。また、各薬剤ともに顔面神経麻痺への処方は適応外使用となりますが、適応「単純疱疹」「帯状疱疹」の範囲内とみなされ、使用が認められているようです。ただし繰り返しになりますが①のアメナリーフをBell麻痺(単純疱疹)に使用してしまうと、保険審査官次第では返戻の対象になってしまうようです。

耳鼻科医師に教えて頂いたことですが、そもそもRamsay Hunt症候群かBell麻痺かを鑑別することは非常に困難なようです。それでも薬剤の適正使用に努めるのが我々薬剤師です。機会があれば是非病名と処方薬の用法用量に問題が無いか意識して処方監査してみて下さい。

以上です。

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