こんばんは、病院薬剤師のポテPです。久しぶりにブログ更新です。
そろそろ薬剤師国家試験が近付いてきました。コロナ禍で非常に大変かと思いますが薬学生の皆さんは最後の踏ん張りどころだと思います。頑張ってください!
今日は病院で働く薬剤師、特に若手の病棟薬剤師におすすめしたい本を紹介します。
なお、今回紹介する本は「○○領域の勉強のため~」とか「まずはこの1冊!」みたいな趣旨とは異なります。「いかに効率よく病棟業務をこなすか」ただそれだけに焦点をあてた本です。数年病棟で勤務してきた中で、特に使用頻度の高い本を紹介します。
治療薬ハンドブック
はい。紹介するまでもなく多くの薬剤師が所持していると思います。が、あえて紹介させて下さい。すごく役に立ってます!
同系統の本に『今日の治療薬』や『治療薬マニュアル』などがあり、どれか1冊あれば困りはしないと思います。が、
あえて僕は『治療薬ハンドブック』をおすすめしたいです。その理由は付属するスマホアプリにあります。このアプリ、最新のアップデートでついにアプリから直接インタビューフォーム(IF)にアクセスできるようになりました!これが個人的にとても便利です。というのも、院内のDIシステムは添付文書にアクセスはできてもIFへはアクセスできないんです。そのためいちいちスマホで検索していたのですが、これが面倒で面倒で・・・。
「そんなにIFを確認することなんてあるのか?」という声が聞こえてきそうですが、あるんです。IFを参照する場面はこんな感じです。
病棟でIFを確認する時
①注射薬の配合変化を確認したい
②製剤の安定性を確認したい
①は看護師さんから本当によく聞かれます。注射薬の配合変化は『注射薬調剤 監査マニュアル』を確認することが多いですが、これだけでは判断できないケースもよくあります。例えば、配合後1時間以内なら含量低下しないが3時間後は含量低下を認めるような配合変化のデータはIFを直接確認すべきです。このような場合はルート内で混合される時間が1時間以内なら同時滴下可と判断することができます。
②も比較的あります。例えば冷所保管すべき薬剤が朝病棟に行ったら室温に放置されていた場合はどうしますか?何でもかんでも破棄していたら病院の損失が大変なことになります。IFには加速試験等の安定性試験の結果が記載されています。そこに「室温3日まで問題ないことを確認」等の記載があれば、1日くらい室温放置されていても問題なく使用可と判断できます。こういった確認のためにもIFは活用できます。
※そもそも冷所保管品を室温保管したスタッフへの教育が必要ですが・・・
病棟で勤務していると上記のようなことは割と頻発します。なのでIFにすぐにアクセスできるようになったこのアプリは本当に重宝しています。結構こういった問い合わせの対応をしていると他の業務が時間内に終わらなくなるんですね・・・。だから業務効率化の観点からは本当に便利なアプリです。
本の内容的に他の本の方がよい、と考えられる方も多いと思いますが、特にこだわりが無く「どれにしよっかなぁ~」と悩まれる方にはこの便利なアプリが無料で付いてくる『治療薬ハンドブック』をおすすめします!腎機能別薬剤投与量POCKET BOOK
日本腎臓病薬物療法学会が出している本です。これは薬剤師が常駐する全ての病棟に完備しておくべき本だと思います。内容としては見開きで腎機能(クレアチニンクリアランス)別の薬剤投与量が表で記載されており非常に見やすく使いやすい本です。そしてコンパクトです!白衣のポケットにギリギリ入ります。
添付文書に具体的な腎機能に対する減量指標が記載されている薬剤はあまり多くありません。大半が「腎機能低下患者では投与量を減らしたり投与間隔を延長するなどの対応をすること」としか記載されていないと思います。「どうしろというのだ(怒)」となった経験のある方、いるのでは?笑
薬剤の適正使用において患者の腎機能を評価することは非常に大切です。例えば、入院患者の持参薬を鑑別し、評価することは大半の病棟薬剤師であれば通常業務としてやっていることと思います。その際この本は大変役に立ちます。
持参薬の鑑別→患者の腎機能を評価→投与量が適切かどうかを評価→必要に応じて医師に相談
この本のおかげで上記業務を効率的に進めることができます。この本があるのとないのとで1人の入院患者にかける時間にかなりの差が出ると思います。
また、医師からの「この人腎機能すごく悪いんだけど、この薬どう使ったらいい?」系の質問にもこの本があればその場で即答できることが可能になります。
知識の少ない若い薬剤師であればあるほど役に立つ本です!
今回は2冊の本を紹介してみました。まだまだ紹介したい本はあるのですが、それは次の機会にします。何かと多忙な病院薬剤師です。今回紹介した本を業務で活用し、自分の時間を多く確保できるようになってもらえたら幸いです。
※今回腎機能に関する内容がありますが、真の腎機能を評価するのは非常に困難です。あくまで推算式等を用いた腎機能評価、と解釈して下さい。
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